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掲示板のことば28 洗心力

この世に「汚れぬもの」はありません。
そして汚れを落とすのに一番効果があるのは〈水〉です。
洗顔、洗濯、洗車…どれも水を使って汚れを落とします。
仏教でも「洒水(しゃすい)」といって、水の力で道場を清めてから、法要を行います。

神さまが与えてくれたのでしょうか、私たちの体にも「浄化」のための〈水〉が備わっています。
そう、それは〈涙〉で、人は涙という水で心を洗い、この世を渡ってゆくのです。

心の汚れ…。
皆さんはそれを感じることがあるでしょうか?

心が汚れることはけっして〈悪〉ではありません。
一日一生懸命汗を流して働いて、体が汚れた時、それを〈悪〉だと考える人はいないはずです。
同様に、私たちが社会に出て人と交わりながら一生懸命に働けば、心にも汚れがつくのは「必然」だと思うのです。
ただ、「体の汚れ」は目に見えるし、「気持ち悪さ」という体感がハッキリ分かるのに比べて、「心の汚れ」は目に見えず、体感の方も「なんとなくモヤモヤ」という感じなので、積極的に(心を洗わなきゃ!)と思えないところが、なかなかに難しいところですよね。

「心」は人間の行動の根源です。
心が汚れていると、生命力がふさがれて、ヒラメキが湧かなくなります。
心が汚れていると、眼が濁り、モノの本質が見えなくなります。
心が汚れていると、耳が詰まり、人の声が素直に聞けなくなります。
心が汚れていると、口が鈍り、優しい言葉が出なくなります。

もしもそうした症状を少しでも感じたなら、考えてみてください。
(わたしは最近いつ泣いただろうか…?)と。
もちろん、泣いて問題が解決するわけでも、事態が変わるわけでもありません。
でも不思議なことに、どんな涙であれ、人は涙を流した後、気持ちが静かになって、前向きに生きてゆく気持ちが湧いてくるものだと、体験的に感じる次第で、そのことは、大切な方を見送った時に流れる涙にも、甲子園で勝った球児、負けた球児、それぞれが流す涙にも、当てはまると思われ、そうした思いを込めて、今月の門前掲示板に次の言葉を記しました。

《嬉し涙、悔し涙、悲し涙、
 感動の涙、懺悔の涙…
 あなたは最近
 いつ涙したか?
 涙で心の
 汚れを洗え》
(2022年8月のことば)

人前でメソメソ、ピーピー泣け、と申しているのではありません。
ただ、人知れず一人、ホロリと流す涙には、大きな〈洗心力〉があることを、どうか思い出して頂きたいのです。
みんなが涙で心を洗うなら、互いに優しさを示し合える、安らぎある暮らしが生まれると思うから…。

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